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私人逮捕の全貌:痴漢や選挙妨害で逮捕はどこまでOK?法律とリスクを解説

Q.ここ数年、私人逮捕という言葉がSNSで出てきます。
選挙妨害”や”NHKの集金”、”痴漢”など
一般人が逮捕できるそうですが、
現行犯でなければ逮捕できないと聞いたことがあります。
しかし、逮捕しでも腕力が無いと逃げられますし
警察までの引継が私人逮捕でしょうか?
よくわかりません。詳しく教えてください。
また、私人逮捕した時に殴られたら、
その場合は殴り返しても正当防衛になりますか

選挙妨害やNHKの集金、痴漢など一般人が逮捕できるそうですが、現行犯でなければ逮捕できないと聞いたことがあります。逮捕しでも腕力が無いと逃げられますし警察までの引継が私人逮捕でしょうか

「私人逮捕」について、
日本の法律に基づいて詳しく説明します。

質問にある「現行犯でなければ逮捕できない」
「逃げられる場合」「殴られた場合の正当防衛」についても、
わかりやすくお答えします。

1.私人逮捕とは?

私人逮捕(しじんたいほ)は、
日本の刑事訴訟法213条に基づき、
一般人(警察官や検察官などの公務員以外)
が犯罪者を逮捕する行為を指します。

具体的には、以下の条件を満たす場合に認められます。

現行犯逮捕

犯罪が「現に」行われている現場、
または「犯罪が終わった直後で犯人が明らか」
な場合に限られます(刑事訴訟法212条1項)。

例えば、痴漢が電車内で被害者を触っている瞬間や、
選挙妨害行為をその場で行っている場合などが該当します。

現行犯以外の逮捕は不可

私人逮捕は現行犯に限定され、
過去の犯罪や証拠に基づく逮捕
(例えば、後日「この人が犯人だ」と特定した場合)
は一般人には認められていません。
これは警察や検察の職務です。

条文(刑事訴訟法213条)
現行犯人は、何人でも、
逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。
つまり、誰でも(一般人でも)現行犯
であれば逮捕が可能ですが、逮捕の要件は厳格です。

2.私人逮捕の要件

私人逮捕を行うには、以下の点に注意が必要です。

犯罪が現行犯であること

現に犯罪が行われている」か
犯罪が終わった直後で犯人が明らか」な場合。

例)
痴漢が触っている現場、
NHK集金人が脅迫行為を行っている瞬間、
選挙妨害で演説を妨害している場面など。
※ただし、「犯罪が明らか」でなければなりません。
例えば、単に「怪しい行動」だけでは逮捕は認められません。

逮捕の方法

私人逮捕では、身体を拘束して
その場で警察に引き渡す必要があります(刑事訴訟法214条)。

具体的には、犯人をその場で取り押さえ、
警察に通報し、速やかに引き渡すことが求められます。
長時間拘束したり、警察に引き渡さずに自分で「制裁」を加える行為は違法です。

警察への引き渡し

私人逮捕した場合は、
直ちに警察官に引き渡す義務があります(刑事訴訟法214条)。
警察署まで連行する必要はありませんが、
警察が到着するまで犯人を確保する形になります。

質問にある「警察までの引継ぎが私人逮捕か?」について

私人逮捕は「取り押さえる行為」そのものを指し、
警察への引き渡しはその後の義務です。

逃げられないように確保することは私人逮捕の一部ですが、
過度な力を使ったり長時間拘束したりすると違法になる可能性があります

選挙妨害やNHKの集金、痴漢など一般人が逮捕できるそうですが、現行犯でなければ逮捕できないと聞いたことがあります。逮捕しでも腕力が無いと逃げられますし警察までの引継が私人逮捕でしょうか

3.私人逮捕の現実的な問題点

質問にある「腕力が無いと逃げられる」
という点は、実際に私人逮捕の難しい点です。
以下に現実的な課題を整理します。

逃亡のリスク

私人逮捕は一般人が行うため、
犯人が抵抗したり逃げたりする可能性があります。

法律上、犯人を確保するために
「相当な力」を使うことは認められますが、
必要以上の暴力は違法(過剰防衛や傷害罪に問われるリスク)です。

例えば、犯人を押さえつけるために
軽く腕をつかむのは許容されますが、
殴ったり蹴ったりするのは原則として違法です。

安全性の問題

犯人が凶器を持っていたり、
複数人だったりする場合、私人逮捕は非常に危険です。
法律では一般人に逮捕を義務づけていないため、
無理に逮捕しようとせず、警察に通報するのが安全で現実的です。

誤認逮捕のリスク

もし「犯罪ではない行為」を誤って逮捕してしまうと、
違法な監禁罪(刑法220条)や暴行罪(刑法208条)に問われる可能性があります。
例えば、「痴漢だと思ったが実は違った」場合、
逮捕した側が訴えられるリスクがあります。

4.殴られた場合の正当防衛について

質問の「私人逮捕中に殴られた場合、
殴り返しても正当防衛になるか?」について、詳しく説明します。

正当防衛の要件(刑法36条)

正当防衛が認められるには、
以下の条件を満たす必要があります。

急迫不正の侵害

自分や他人が「現在進行形で」不法な攻撃を受けていること。

防衛の必要性

その攻撃を防ぐために、
やむを得ず反撃する必要があること。

相当性

反撃が、攻撃の程度に対して過剰でないこと。

私人逮捕中のケース

犯人に殴られた場合

私人逮捕中に犯人が抵抗し、
殴ってくるなどしてあなたに危害を加えようとした場合
これは「急迫不正の侵害」に該当します。
この場合、自分を守るために反撃することは
正当防衛として認められる可能性があります

例えば、犯人があなたを殴ってきた場合、
身を守るために犯人を押しのけたり、
場合によっては殴り返すことが正当防衛とされる可能性があります。

殴り返す際の注意点

相当性の範囲内であることが重要です。
例えば、犯人が軽く押してきただけなのに、
過度に殴り返したり武器を使うと、
過剰防衛(刑法36条2項)として違法になる可能性があります。

例えば、犯人が殴ってきたが逃げようとした場合、
追いかけて殴るのは正当防衛ではなく、逆に傷害罪になる可能性があります。

具体例

痴漢を現行犯で取り押さえた際、
痴漢があなたを殴ってきた場合、
身を守るために腕を押さえたり、

場合によっては反撃することは
正当防衛として認められる可能性が高いです。
ただし、痴漢が抵抗をやめて逃げようとした後に殴ると、
正当防衛とは認められにくいです。

5.私人逮捕の実例(SNSで話題のケース)

質問にある「選挙妨害」「NHKの集金」「痴漢」について、
SNSで話題になる背景と注意点を説明します。

選挙妨害

選挙期間中の演説妨害や暴力行為は、
公職選挙法違反(例:自由妨害罪、225条)
として現行犯逮捕の対象になり得ます。

ただし、単なる「ヤジ」や意見表明が
選挙妨害と誤解されると、誤認逮捕のリスクがあります
明確な違法行為(例えば、演説会場での暴力や脅迫)
がなければ逮捕は慎重に行うべきです。

NHKの集金

NHKの集金人が脅迫や強要
(例:「払わないと訴える」など)を行った場合、
刑法の脅迫罪(222条)や強要罪(223条)
に該当する可能性があり、現行犯逮捕の対象になります。

しかし、単に「しつこく訪問された」
だけでは犯罪に該当しないため、逮捕はできません

SNSで「NHK集金人を私人逮捕」と主張する動画が話題になりますが、
違法性が不明確な場合、逮捕者側が訴えられるリスクがあります。

痴漢

痴漢行為(不同意わいせつ罪、刑法176条)
は典型的な現行犯逮捕の対象です。
被害者や周囲の人がその場で取り押さえるケースは合法的です。

ただし、痴漢と誤認するリスクや、
取り押さえる際の暴力が問題になる場合があります

SNSでは「痴漢を私人逮捕」とする動画が拡散されますが、
過度な暴力や晒し行為は名誉毀損やプライバシー侵害につながる可能性があります。

6.私人逮捕の注意点と推奨行動

私人逮捕は法律で認められているものの、
リスクが高いため慎重に行う必要があります
以下は推奨される行動です。

安全第一

犯人が危険な場合(凶器を持っている、複数人など)は、
無理に逮捕せず、警察に通報してください。
私人逮捕は義務ではなく、危険を冒す必要はありません。

証拠を確保

スマートフォンで動画や写真を撮影し、
犯罪の証拠を残すことが重要です。
これにより、警察が後で対応しやすくなります。

過度な暴力は避ける

逮捕時に必要最小限の力を使うこと。
過度な暴力は違法行為になり、逆に訴えられるリスクがあります。

警察への速やかな引き渡し

逮捕したらすぐに警察に通報し、
犯人を引き渡してください。
長時間の拘束や私的制裁は違法です。

誤認逮捕に注意

「犯罪だと思った」が実は違った場合、
逮捕した側が訴えられる可能性があります。
特にSNSでの拡散は、名誉毀損やプライバシー侵害のリスクを高めます。

7.結論

私人逮捕は現行犯に限定され、
犯罪が明らかでなければできません。

痴漢や選挙妨害、NHK集金人の脅迫などが
現行犯であれば逮捕可能ですが、誤認や過度な暴力には注意が必要です。

逃げられるリスクは確かにあり、
必要最小限の力で確保することが求められます。
警察への引き渡しは義務であり、速やかに行う必要があります。

殴られた場合の正当防衛は、
急迫不正の侵害があり、反撃が相当な範囲内
であれば認められる可能性があります。
ただし、過剰な反撃は違法になるため注意が必要です。

SNSでの私人逮捕動画は、
違法性やプライバシー侵害のリスクがあるため、
拡散や実行には慎重になるべきです。

もし具体的な状況(例:特定のケースでの対応方法)
についてさらに質問があれば、教えてください!
また、法律の解釈や適用は状況次第で異なるため、
疑問があれば警察や弁護士に相談することをお勧めします。

※参考情報※
刑事訴訟法213条、214条(私人逮捕の根拠)
刑法36条(正当防衛)
刑法220条(監禁罪)、208条(暴行罪)
公職選挙法225条(選挙妨害)
刑法176条(不同意わいせつ罪)、222条(脅迫罪)、223条(強要罪)
(注:この回答は2025年6月13日時点の日本の法律に基づいています。
法改正や具体的な状況により異なる場合があります。)

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