スーパー前や郵便局の「血管年齢無料測定」は信用できるのか?
正直な話と、勧誘を論破する方法
最近、スーパーの入り口前や郵便局の中で「血管年齢を無料で測りますよ」と声をかけられることが増えた。指を入れるだけの小さな計測器で、あっという間に「あなたの血管年齢は○歳です」と結果が出る。便利そうに見える一方で、「あんなちっぽけな機械で本当にわかるのか?」「その後にハーブの入会や保険を勧めてくるのはどうなんだ?」と引っかかる人は多い。
特に郵便局の中でやっていると「郵便局とグルじゃないのか?」と感じるのも無理はない。公共性の高い場所を使って不安を煽り、商品や保険につなげる営業手法に見えるからだ。
ここで大事なのは、測定器そのものと、勧誘方法を分けて考えることだ。
あの小さな計測器は何を測っているのか
いわゆる「チョロQサイズ」の指を入れるタイプは、多くの場合「加速度脈波計」や「指尖容積脈波(光電式容積脈波・PPG)」を使う簡易機器だ。代表的な製品に「メディカル・アナライザー」(ピーテック製など)がある。指に赤外線を当て、拍動に伴う血液量の変化を波形として取得する。だから「何も測っていない箱」ではない。
ただし、そこで表示される「血管年齢○歳」は、血管を直接観察して『あなたの血管は実際に○歳の状態です』と測定した数字ではない。
典型的な仕組みはこうだ。
- 指先の脈波を光学センサーで測定
- 波形を数値化
- 年齢別の基準データなどと比較
- 「○歳相当」と表示
つまり、50歳の人に「血管年齢68歳」と出ても、「あなたの血管を調べた結果、医学的に68歳の血管だと判明した」という意味ではない。あくまで「指先の波形が、平均的に68歳くらいの人の波形に近い」という推定・目安にすぎない。
血管壁の厚さやプラーク(動脈硬化のコブ)を測っているわけでも、大動脈の硬さを直接測っているわけでもない。医療機関で行うCAVIやPWV(脈波伝播速度)とは精度も対象部位もまったく違う。
正直な信用度の分け方
正直に言えば、「参考値としては使える。でも、その数字をそのまま信用して健康状態を判断するのは無理」が一番正確だ。
小さいからダメというわけではない。今はスマホのカメラ程度の光学センサーでも脈波は取れるし、研究でも光電容積脈波から血管の老化に関する情報が得られることは確認されている。問題は、その先の「あなたの血管年齢は○○歳!」という数字の扱い方だ。
信用度を分けるとこうなる。
- 「脈波を測っている」→ 信用していい
- 「その波形に血管の状態がある程度反映される」→ 根拠はある
- 「血管年齢○○歳」→ あくまで推定・目安
- 「○○歳だからあなたの血管は危険」→ それだけでは判断できない
- 「だからこの商品・保険が必要」→ さらに別の根拠が必要
厚労省の資料などでも、指尖容積脈波は室温や測定条件の影響を受けやすく、心機能や生理状態の影響が大きく、他の脈波検査より再現性があまり良くないという指摘がある。誤差が出やすいのは事実だ。
問題の本質は「機械のサイズ」ではなく「営業の使い方」
「うわっ、血管年齢70歳ですよ!」「危ないですね」「そこでこの商品を……ジムの予約を」という流れで営業されたら腹が立つのは当然だ。仮に簡易測定器に一定の妥当性があったとしても、「血管年齢が高く出た」→「だからこの保険/健康食品/ハーブが必要」は自動的には成立しない。
次の4段階それぞれに根拠が必要になる。
- 測定器が何を測定しているか
- 血管年齢への換算にどの程度の妥当性があるか
- その結果から健康上のリスクをどこまで言えるのか
- そのリスクと販売商品にどんな関係があるのか
ここを曖昧にしたまま不安を煽るのは、フェアな説明とは言えない。
街頭で論破する(理詰めで聞く)方法
相手に「そんなチョロQで分かるか!」と感情的に言うより、次の質問を冷静に投げかける方がはるかに強い。
理詰めで聞くべき質問例
- 「この“血管年齢”は医学的な診断値ですか、それとも指先の脈波から算出した参考値ですか?」
- 「血管そのものを画像で見たり、血管壁の厚さやプラークを測ったりしているわけではないですよね?」
- 「測定時の血圧、心拍、室温、末梢血管の収縮などの影響はどの程度受けますか?」
- 「この機種で算出した血管年齢について、CAVIやPWVなどと比較した検証データを見せてもらえますか?」
- 「そして、この測定結果と今勧めている商品との間に、どんな医学的根拠があるんですか?」
相手が「いや、あくまで目安です」と言ったら、すかさずこう続ける。
「じゃあ、その目安を根拠に商品や保険を勧めるのはおかしくないですか?」
これが一番効く。測定器自体はちゃんと脈波を測っている。怪しいかどうかを見るべきなのは機械のサイズではなく、「チョロQが出した推定値をどこまで大げさに解釈して営業に使っているか」だ。
まとめ
あの小さな計測器(メディカル・アナライザーなどの加速度脈波・指尖容積脈波式)は、指先の脈波を測っている点では嘘ではない。しかし「血管年齢○歳」はあくまで参考値・推定値であり、血管の状態を医学的に診断するものではない。プラークや血管壁の詳細はわからないし、誤差も出やすい。
問題の本質は、その参考値を「危ない!」と煽ってハーブ入会や保険販売につなげる営業手法にある。無料測定を入口にした勧誘に対しては、上記の質問で根拠を丁寧に聞くだけで十分に論破できる。結果を鵜呑みにせず、気になるなら医療機関で正式な検査を受けるのが一番確実だ。


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