黄砂が当たり前になりましたよね。
この黄砂とは何なのですか?
自然発生してるのですか?
それとも公害ですか?
教えてください。
それが肥料か何かになって
海に良い効果もあると聞いたことがありますが、
これは本当なのですか?教えてください。
A.黄砂は、中国やモンゴルの
乾燥した砂漠地帯から飛散する微小な砂塵が、
偏西風に乗って日本を含む東アジアの広範囲に運ばれる現象です。
この現象は自然発生的なもので、
特に春から初夏にかけて観測されることが多いです。
黄砂の主な発生源は、
タクラマカン砂漠やゴビ砂漠などの砂漠地帯で、
強風によって砂や鉱物粒子が空高く吹き上げられ、
偏西風に乗って遠くまで飛んでいきます。
これは自然現象の一部ですが、
人間の活動による砂漠化の進行が黄砂の発生を
増加させているとも考えられています。
工業化の進展や森林伐採などにより、
乾燥した土地が増え、それが黄砂の発生源となっています。
黄砂は公害とは異なりますが、
その中に含まれる微小粒子や化学物質が
健康被害を引き起こす可能性があるため、
環境問題として扱われることもあります。
呼吸器系の病気やアレルギー反応を
引き起こすことがあり、また、農作物への影響や、
川や湖の富栄養化など、自然環境への影響も懸念されています。
対策としては、黄砂が飛散する時期には
マスクを着用する、外出を控える、
室内の換気を適切に行うなどが挙げられます。
また、黄砂の飛散予測情報に注意を払い、
必要に応じて対応を行うことが重要です。
海の生態系に肯定的な効果
黄砂が海に沈むと、海の生態系に
いくつかの肯定的な効果をもたらすことがあります。
黄砂は主にケイ酸や鉄などの栄養素を含んでおり、
これらが海に沈むことで海洋の植物プランクトン
の成長を促進することが知られています。
特に、黄砂に含まれる鉄は、
鉄分が不足しがちな海域で植物プランクトンの
光合成を活性化させる重要な役割を果たしています。
植物プランクトンは海洋生態系の基盤となる存在で、
魚類などの多くの海洋生物の食物源となっています。
したがって、黄砂が海洋に供給されることで、
プランクトンの増加を通じて魚類の豊かな
生息環境が支えられることになります。
さらに、黄砂による鉄の供給は、
海洋の植物プランクトンが大気中の二酸化炭素を吸収し、
酸素を放出する光合成を促進することで、
温暖化の抑制にも寄与する可能性があります。
また、黄砂に含まれる炭酸カルシウムが酸性雨の
影響を軽減する効果もあるとされています。
これらの情報は、
黄砂が海洋生態系にとって重要な栄養源であり、
地球環境にも影響を与える可能性があることを示しています。
ただし、黄砂が持つこれらの肯定的な側面にもかかわらず、
黄砂が人間の健康に悪影響を及ぼすこともあるため、
その影響は複雑なものと言えるでしょう。
A.黄砂の成分は、主に以下のような鉱物から構成されています。
– **石英** (SiO2)
– **長石** (Feldspar)
– **雲母** (Mica)
– **緑泥石** (Chlorite)
– **カオリナイト** (Kaolinite)
– **方解石** (Calcite, または炭酸カルシウム)
– **石膏** (Gypsum, または硫酸カルシウム)
– **硫酸アンモニウム** (Ammonium Sulfate)
これらの鉱物は、黄砂が地球の
自然環境に与える影響に大きく関わっています。
例えば、方解石は土壌の中和作用に寄与し、
石膏は土壌の肥沃化に役立ちます。
また、これらの鉱物は海洋の栄養素としても重要で、
特に鉄分は植物プランクトンの成長に不可欠です。
さらに、黄砂は空気中の
さまざまな粒子を吸着する性質を持っており、
その中には硫酸イオンや硝酸イオン、
重金属などの汚染物質も含まれることがあります。
これらの吸着成分は、黄砂が飛来する地域や
通過する地域によって異なるため、
黄砂の影響は複雑なものとなります。
黄砂の粒子の大きさは、0.5 µmから5µm程度で、
粒径分布では4µmにピークがあるとされています。
これはタバコの煙の粒子より大きく、
人間の赤血球よりやや小さいくらいです。
このサイズの粒子は、地質学での
砕屑物の分類においては「泥」(シルト・粘土)にあたり、
非常に小さい部類に入ります。
黄砂の成分や粒子の大きさは、
その飛来する地域や環境に与える影響を
理解する上で重要な情報です。
また、黄砂の成分分析は、
環境保護や健康管理の観点からも
重要な研究分野となっています。